薄暗い照明、水の音、陸上生活では味わえない世界。
不思議と癒しを与えてくれる環境のスポットといえばそう、水族館ですね。
近年は展示・隣接する施設・体験内容等の個性を一層強くし、そこにしかない魅力で集客に力を入れる風潮を感じます。
当記事では「(筆者主観で)これから注目を浴びること間違いない!今のうちに行っておきたい水族館」ということで、静岡県にあるくまのみ水族館をご紹介します。
クマノミに特化!静岡県くまのみ水族館
クマノミってどんな魚?
まとめ
クマノミに特化!静岡県くまのみ水族館
山形県鶴岡市にある加茂水族館、ご存知の方も多いんではないでしょうか。
人気の起爆剤となったのが、5mにも及ぶ水槽に約1万匹ものミズクラゲが漂う「クラゲドリームシアター」です。
幻想的な空間が味わえるとSNSによって日本から世界中にまで拡散され、経営難から奇跡のV字回復を果たしたとのこと。
クラゲ特有の動きが非日常感を演出していることに相乗し、そんな特殊な生物が大群になっている様子もまた未知なるものに対する畏怖という感情がはたらき、唯一無二のエンターテイメントとして惹きつけられるのかもしれません。
そんな種類特化型水族館は加茂水族館の他にもあり、それが静岡県静岡市にある「くまのみ水族館」です。
正確には東海大学海洋科学博物館(海のはくぶつかん)が施設の名称であり、その中でクマノミに特化した展示コーナーをくまのみ水族館としています。
約20種類のクマノミが展示されているのですが、目玉は上から見るとドーナツの形状をしたリング水槽。
この中には数百匹のクマノミが泳いでおり、リング内側に入って360°クマノミに囲まれる体験ができます。
その様子を外側にいる人からすれば、内側に入った人がまるで水中でクマノミと戯れているような画が見られます。
この海のはくぶつかんには、クマノミを始め、クラゲや駿河湾で見られる水中生物が合計約400種類が飼育されています。
他にもリュウグウノツカイといった深海魚の標本や津波実験コーナー等、静岡県・大学附属施設ならではの充実したラインナップ。
気になる入館料ですが、なんと無料!
最寄り駅のJR清水駅からは近くない距離ですが、見ごたえ抜群の穴場スポットなので是非足を運んでみては?
〒424-8620 静岡県静岡市清水区三保2389
クマノミってどんな魚?
今でこそ世界的にカラフルで小さな熱帯魚ではメジャーとなったクマノミですが、きっかけはディズニー映画「ファインディング・ニモ」(2003年公開:ピクサー、ディズニー共同製作)で主人公ニモとその父親マーリンがカクレクマノミという設定だったことだと思います。
映画自体も好評を博し、2012年に「ファインディング・ニモ 3D」・2016年に「ファインディング・ドリー」とシリーズ続編が上映されました。
さて、当記事では終始クマノミと一言で表現させていただきますが、誤解を招かないようここで補足しておきますね。
クマノミの仲間はスズキ目スズメダイ科クマノミ属に分類されます。
生物学上の根拠があるとはいえ、体色がダークトーンで体長1mにもなるスズキの系統とされていると思うとつくづく不思議です。
世界で確認されているクマノミ属は28種。
くまのみ水族館は20種類を飼育しているので、全世界にいるクマノミの約3/4を静岡県で生で見れることになりますね。
同属の中では最も北まで生息範囲を広げているクマノミの他、先述したカクレクマノミ、セジロクマノミ、スパインチーク・アネモネフィッシュ等がいます。
大まかに共通している生態的特徴は下記の通り。
●イソギンチャクと共生関係にある
●成魚に育っても体長10~15cm
●縄張り意識が強い
●同じ生息圏の中で場合によってオス→メスへ性転換する
●基本的にはオレンジの身体に白帯模様という外見
小さくてカラフルな見た目で眺めるだけなら癒しを与えてくれますが、割と好戦的な気性のようです。
外見については、種類によって白帯模様の本数・位置が異なります。
また中にはオレンジではなくブラックの体色をするクマノミもいて、共生するイソギンチャク等の環境要因による変色とされています。
まとめ
日本では沖縄県エリアのみならず伊豆や館山にも生息するクマノミですが、地球温暖化による海水温の上昇で冬でも活動している姿を見かけられるようになったようです。
筆者は趣味としてダイビングをしているのですが、正直なところ複雑な心境です…
また共生関係にあるイソギンチャクは、温暖化による白化現象(はっかげんしょう)・死滅が深刻な問題となっていて、
これは事実クマノミの生息場所が減少しているということになります。
くまのみ水族館は単にクマノミの仲間を多く展示するだけではなく、40年以上前から人工飼育に挑戦し、2024年6月時点で15種の繁殖~育成に成功したとのこと。
自然界から得られる癒しや恵みは人間にとっても必要不可欠。
水族館の認知度向上とともにこうした取り組みが知れ渡って、一人でも多くの人が環境問題へ興味・関心を抱き、どんな形でも自然を守るアクションを始めてもらえることを切に願うばかりです。